「竹」と聞くと、多くの方は太くてどっしりした、あの春のたけのこが採れる竹を思い浮かべると思います。でも実は、日本の里山でよく見かける竹は大きく分けて3種類あるのをご存じですか?
それぞれたけのこの出る時期も、大きさも、太さも、味も、使い道も全然違うんです。3haの竹林を1人で18年管理してきた経験から、この3種をできるだけわかりやすくまとめてみます。
日本の代表的な竹は「孟宗竹・淡竹・真竹」
まずは結論から。日本で目にする竹のほとんどは、次の3種類のどれかです。
- 孟宗竹(もうそうちく) … いちばん太くて、たけのこといえばコレ
- 淡竹(はちく) … 細めで上品、初夏のたけのこ
- 真竹(まだけ) … 加工性NO.1、竹細工といえばこの竹
それぞれ「いつたけのこが出るか」「どれくらい大きくなるか」「何に使うか」が全然違います。順番に見ていきましょう。
① 孟宗竹(もうそうちく)|太くて大きい、春の主役
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| たけのこ発生時期 | 3月下旬〜4月(最盛期は4月) ※例外:早掘りは11月下旬〜 |
| 高さ | 20〜25m(日本最大級) |
| 直径 | 10〜20cm |
| 原産 | 中国 |
| 日本伝来 | 江戸時代(1736年に薩摩藩へ伝来した説が有力/孟宗竹の伝来の諸説まとめ) |
特徴
孟宗竹は、日本にある竹の中でいちばん太く、いちばん大きく育つ竹です。葉が小さく密集しているのが見た目の特徴で、節輪(節にある輪)が1本しかありません。
ちなみに孟宗竹はもともと日本にあった竹ではなく、中国から伝来した外来種です。江戸時代に薩摩藩へ伝わった説が有名ですが、京都の海印寺説や隠元禅師による持ち込み説など、実は諸説あります。気になる方は、伝来の諸説をまとめた 孟宗竹はいつ日本に来た?|伝来の諸説まとめ もあわせてどうぞ。
たけのこの特徴:とにかく太い。土から顔を出した時点で大人の握りこぶしより太く、うまく早掘りすれば直径15cm近いものも採れます。肉厚でホクホクとした食感、ほんのり甘い、いわゆる「春の味覚」のたけのこ=孟宗竹だと思ってまず間違いありません。
使い道
- 食用たけのこ(最も流通量が多い・八百屋やスーパーで売っている春のたけのこは大体これ)
- メンマの原料
- 建材・足場竹(昔の主力)
- 竹炭・竹酢液
- 工芸品(孟宗竹は加工性が真竹より落ちるので大物が中心)
スーパーで「たけのこ」として並ぶのはほぼ全部この孟宗竹です。鮮度が命で、掘ってから時間が経つほどエグミが強くなるので、できれば朝掘りを当日中に。
② 淡竹(はちく)|細身で上品、初夏のごちそう
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| たけのこ発生時期 | 4月下旬〜5月 |
| 高さ | 10〜15m |
| 直径 | 3〜10cm |
| 原産 | 中国(古くから日本に自生) |
特徴
淡竹は、孟宗竹よりひと回り細くて、節と節の間(節間)が長いのが特徴。表面が白い粉を吹いたように見えることもあり、青みがかった上品な見た目をしています。皮に毛がほとんどないのも見分けポイントです。
たけのこの特徴:細長く、太いものでも直径5〜7cm程度。孟宗竹より遅れて、桜が散った頃〜ゴールデンウィーク頃に出てきます。アクが少なく、生でかじっても食べられると言われるほどえぐみが穏やかで、地方では「孟宗より淡竹のほうが好き」という人も多いです。
使い道
- 食用たけのこ(地方の旬の味として根強い人気)
- 茶筅(ちゃせん)の原料
- 籠・笊(ざる)などの編組品
- 和傘の骨
- 小物・装飾品
しなやかで割りやすいので、細い竹細工に向きます。茶道で使う茶筅は、淡竹で作るのが伝統です。
③ 真竹(まだけ)|加工性NO.1、竹細工の王様
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| たけのこ発生時期 | 5月〜6月(3種で最も遅い) |
| 高さ | 15〜20m |
| 直径 | 5〜15cm |
| 原産 | 中国説・日本説の両方あり(学術的に未確定) |
特徴
真竹は節輪が2本あるのが、孟宗竹(1本)との大きな見分け方。皮には黒い斑点があり、乾くと飴色になります。まっすぐに伸び、繊維が均一で、3種の中で最も加工しやすい竹です。
たけのこの特徴:細長く、孟宗竹より一回り小ぶり。出る時期が5〜6月と遅いのが特徴で、孟宗・淡竹のシーズンが終わった頃に出てきます。意外とえぐみが少なく、アク抜きも軽くで済むのが嬉しいポイント。出回り量が少ないので、見つけたらラッキーな”通好み”のたけのこです。
使い道
竹細工の世界では真竹が圧倒的に主役。
- 茶道具(茶杓・蓋置など)
- 楽器(尺八・篠笛)
- 釣竿(和竿)
- 剣道の竹刀
- 建材・床材
- 食用たけのこ(地方限定で流通)
「日本の竹工芸=真竹」と言ってもいいくらい、伝統工芸の世界ではなくてはならない素材です。
3種を一目で比較
| 項目 | 孟宗竹 | 淡竹 | 真竹 |
|---|---|---|---|
| たけのこ時期 | 3月下旬〜4月 (早掘りは11月下旬〜) | 4月下旬〜5月 | 5月〜6月 |
| 高さ | 20〜25m | 10〜15m | 15〜20m |
| 直径 | 10〜20cm | 3〜10cm | 5〜15cm |
| 節輪 | 1本 | 2本 | 2本 |
| 食味 | 肉厚・甘い | アクが少なく上品 | アクが少なく食べやすい |
| 主な使い道 | 食用・建材 | 茶筅・籠 | 竹細工全般 |
まとめ|「竹」と一括りにするのはもったいない
ひとことで「竹」と言っても、孟宗竹・淡竹・真竹はそれぞれ性格が全然違います。
- 春のたけのこを楽しみたい → 孟宗竹
- アクが少ない上品なたけのこを探すなら → 淡竹
- 竹細工や工芸品の素材にこだわるなら → 真竹
時期も少しずつズレているので、うまく組み合わせれば3月下旬から6月まで、ずっと旬のたけのこを味わえることになります。
竹林を歩く機会があれば、ぜひ「節輪は何本?」「皮に毛はある?」「節間の長さは?」と観察してみてください。同じ「竹」でも、見え方がぐっと変わってくるはずです。



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