竹を切ることは、竹を植えること
竹林管理を始めて18年。「もったいないから切らない方がいいのでは?」とよく聞かれますが、結論から言うと竹を切ることは、竹を植えることと同じ意味です。
なぜか。目的は密度管理だからです。
竹は密度によって生育が大きく変わります。プロのたけのこ農家は、間伐によって竹林の密度をコントロールし、たけのこの生育を意図的にデザインしています。
竹の生育を決める2つの要素:光と風
竹の生育に最も重要なのが光と風です。
- 密度が低い竹林 … 内部が明るく、竹が風でよく揺すられる
- 密度が高い竹林 … 内部が暗く、風も入らない
放置竹林はこの「密度が高い」状態の極み。枯れた竹と倒れた竹が支柱のように積み重なり、光を遮り、風の影響を打ち消してしまいます。
密度が高すぎると何が起きるか
密度が高すぎる竹林では、こんな現象が起きます。
- たけのこの芽の数が減る
- 残った芽1本1本に養分が集中して大きく育つ
- 結果、放置竹林の竹は太くて高くなる
- 地下茎は光と水分を求めて、竹林の外へ外へと向かう
つまり、竹林の中ではたけのこが生えにくい状態になっていく。これが放置竹林の竹が立派に見えるのに、たけのこ自体は採れなくなる理由です。
密度を下げると竹林はどう変わるか
枯れた竹を切って密度を減らすと、竹林の中に光が差し込み、竹が風で揺すられるようになります。
竹は体の各部で環境を感知しています。
| 感知する要素 | 感知する部位 |
|---|---|
| 光 | 葉・稈(かん) |
| 風 | 節・地下茎 |
光と風の影響がある方向に向かって地下茎が伸びるため、竹林内部に地下茎が増えていきます。地下茎が増えれば芽の数も増え、結果としてたけのこが沢山生えるようになります。
これが、竹を切る本当の理由です。
プロの密度管理:10aあたり200〜300本
では、どれくらいの密度が良いのか。
たけのこ栽培の標準は10aあたり200〜300本。
| 立地 | 推奨密度(10aあたり) |
|---|---|
| 風当たりが強い場所 | 300本 |
| 北向きなど風が弱い・日照が少ない場所 | 200本 |
風が強い場所では竹がよく揺すられるので密度を高めに、風が弱い場所では密度を低くして光を確保する。この加減を読む力がプロの技です。
まとめ:自分の竹林に最適な密度を見つけよう
- 竹を切ることは、竹を増やすこと(=たけのこを増やすこと)
- 目的は密度管理。光と風が地下茎の動きを決める
- 標準は10aあたり200〜300本。立地で調整する
- 自分の竹林に最適な密度を見つけることが、プロへの第一歩
放置竹林を抱えている方も、「とりあえず切る」ではなく「どこまで切るか」を意識するだけで、竹林は驚くほど応えてくれます。


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